社会的選択の論理3 |
K.J.Arrow, Social Choice and Individual Values, Yale U.P., 1951, 2nd ed. 1963.
条件U: 個人選好の無制約性(unrestricted domain)
各個人はどのような選好順序を表明してもよい(どのようなプロフィールに対しても選好順序が一つ決まらなければならない)
条件P パレート最適性(Pareto principle)
全員が「xはyより望ましい」とした場合には社会的決定はこれに従わなければならない
(x >i y for all i ∊ I → x > y for all x,y ∊ X )
条件I 無関係対象からの独立性(independence of irrelevant alternatives)
x, yについての社会的順序は,x,yについての個人的選好順序だけによって決まらなければならない
条件UD 非独裁性(nondictatorship)
ただ一人の人物の選好順序が,他のメンバーの選好のいかんにかかわらず常に社会的順序として採用されるということがあってはならない
定理(一般可能性定理 General Possibility Theorem)
2人以上のメンバーから成る社会が,3つ以上の選択肢に関して社会的決定を行う場合,条件U,P,I,UDをすべて満足する社会的決定方式は存在しない。
「一般不可能性定理」とした方がよさそうだが、その名称が悲観主義的であることを恐れて、「一般可能性定理」と名付けたそうである。この分野の研究にブレークスルーを与えたものとして名高い定理。(アロウの命名は命名であるが、Arrow’s impossibility theorem, Arrow’s paradox などとも呼ばれている)
アロウ自伝(1972年ノーベル経済学賞受賞):http://nobelprize.org/nobel_prizes/economics/laureates/1972/arrow-autobio.html