ゲ―デルの哲学 |
駆け足だったが,みな楽しく読めた。
個人的にはゲ―デルが一番面白かった。晩年の「神の存在証明」にはとくに感心しなかったものの,彼の伝記は興味深い。アインシュタインやモルゲンシュテルン,フォン・ノイマンなどとの交友に思わず読みいった。
一般の方々が哲学に関心を寄せるのはなぜだろう?
私見では,次の3つが主な理由。
1 哲学は知識の限界を問題にしているようだが,知識の限界は興味深い。われわれの知識にはどのような限界があるか知りたい
2 哲学はいかに生きるべきかの指針をあたえてくれそうだ
3 哲学は科学とは違うようだ。哲学って一体何をやっているのか,どういう議論をやっているのか,ちょっと興味がある
高橋さんの本は,とくに1の二―ズにこたえている。
ハイゼンベルクの不確定性原理,ゲ―デルの不完全性定理,アロウの一般可能性定理(民主主義のパラドクス)といった定番から,帰納の問題,確証のパラドクス,指示の不可測性,理論の決定不全性,人間原理,神の存在証明などの諸「限界」をカバーしている。
おすすめできると思う(フォローしにくいところは適当にスキップすればよい)。