滝川三九郎(真田太平記) |
もうろくしたせいか、最初の方ははじめて読む感じ。
さすがに途中から、見慣れた風景のようになった。
昔NHKドラマ「真田太平記」を見た記憶がよみがえってきた。
女忍び「お江」(おこう)がすばらしかった。
調べたら、「遥くらら」という宝塚出身の女優さんだった。
彼女の「・・まいた」というセリフもよく覚えている。
真田忍者の棟梁「又五郎」役の俳優も渋かった。
真田昌幸を丹波哲郎、真田信之役を渡瀬恒彦がそれぞれつとめていたが、これもはまり役。
今回も彼らのイメージで読んだ。
やはり私はお江がよい。
ドラマを見ていてよくわからなかったのが「滝川三九郎」。
大阪夏の陣のおり、旗本として、幸村軍の突撃からよく家康を守り、戦後家康から「三九郎、何か恩賞の希望はないか」と聞かれ、「左衛門佐(幸村)の家族の身柄をお預け願いたい」と望み、周囲の家臣に目を配りながら「欲がないのう」と家康に許されたシーンを覚えている(三九郎は真田昌幸の娘,つまり幸村の妹を妻としている)。
今回「真田太平記」を読み直し、彼の快男子ぶりはわかったが、同じ著者に「滝川三九郎」という短編があったので、あわせて読んでみた(短編集「武士の紋章」収録)。
大いに気に入った。
池波作品は、登場人物の人柄がよいので安心できるが、「滝川三九郎」は絶品クラス。
彼の世話で、幸村の娘阿梅が伊達政宗の重臣片倉小十郎に嫁いでいる。
幕府の目もあったろうに、さすがは「鬼小十郎」。
三九郎最期の言葉は
「束の間の一生にしては、いささか長すぎたようじゃが、いまこそ三九郎一績、天地の塵となるぞよ」
とのこと。
創作だと思うが,いい言葉だ。
著者同様,私もそのように,と思う。
家康の懐の深さも印象的。
追記
中古全集を求めたはずが,最期の数巻が見当たらず,近くの図書館から借りてきて読んだ。
すべてが終わった後の最終巻が感動的。
お江が長命を保つのは読者としてありがたい。
「おじ様」と上田に移り住むのもよい。
阿梅と弟妹たちは片倉家,伊達家に庇護されて,伊達真田氏として命脈を保った。
片倉家の本拠白石市では,幸村に縁ある「鬼小十郎まつり」が開催されているとのこと。
勇壮な祭り風景をyouTubeで拝見。真田の赤備えなど立派。音楽もよし。
6/27/2011
* 夏八木勲さん、役者のまま逝く すい臓がん隠し撮影参加
(headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130513-00000036-sph-ent)
「すーさん」に続き「又五郎」死去。
「主役級の存在感を持ちながら、脇を固める実力俳優として欠かせない存在だった」
とのこと。
最期は夫人、娘がみとり、「安らかで、声を掛けたら『スマン』と起きてくるような顔をしていた」(関係者)そうだから、真田忍びの棟梁「壺屋又五郎」にふさわしいご最後だったようだ。
個性が大事、を教えてくれる人々が亡くなっていくのは残念である。
合掌。
戸田恵子が夏八木勲さんの優しさ語る
(http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2013/05/14/0005987376.shtml)
もよい話。
又五郎らしい。
真田忍びの棟梁ならさもあらん、である。
追記
真田太平記でも最も好きな「上田攻め」部分がYoutubeにアップされていた。GJ!
「NHK大河ドラマ」真田太平記 第8話 - Sanada Taiheiki Episode 8 | HQ
(https://www.youtube.com/watch?v=PsYYiaOZO9E)
戦の後、幸村が上杉景勝のもとで戦勝の報告をする場面と昌幸、信幸父子が駿府城で家康にあいさつする場面が好み。あらためて視聴し、役者揃いであるのに感心。
追記
有名な「下野犬伏の別」。関ヶ原前夜、上田に戻る途中、「久しぶりに孫の顔が見たい」と沼田城に入ろうとするも、本田忠勝娘小松姫に拒否され、近くのお寺で面会、という話。ある所で読んだが、拒否されることを予測、家康に倅信之の忠誠心を印象づけるために、両者あうんの呼吸で行われた拒否劇、というのが真相だろう。その後のことを見ても、昌幸、小松姫はそれができるレベルの人々だったことは確実。そうなのだが、沼田は昌幸にとって喉から手が出るほど欲しい城であったことも事実。沼田を昌幸が抑えれば、水戸の佐竹と合わせて、江戸に対する強力な抑えとなる。信之を婿にした家康の作戦勝ち。やはり勝つべくして勝った。昌幸は高野山九度山で大阪方の軍師として手腕を発揮する日を待ちわびていただろうが、その日が来る前に亡くなった。無類の戦巧者、戦場で家康を上回る能力をもっていたのは昌幸だけだったろう。「表裏者」という評価に惑わされたのかもしれないが、武田勝頼も秀吉も三成、淀の方も彼の力を評価できなかった。昌幸に大阪城を任せたら、家康の勝ちは困難だった。上田攻めを見ても、城攻めへの対処は昌幸の得意中の得意だった。幸村の「真田丸」は昌幸の夢の跡だ。家康がわざわざ大阪城に近い高野山に昌幸、幸村を配流したのは興味深い。大阪方は昌幸を家康のスパイと疑った確率が高い。幸村についても同様の疑いがつきまとったろう。幸村は義を、忠誠心を天下に示した。
追記
真田太平記で記憶に残っているのは佐助役の俳優。うっかりしていたが、中村橋之助、歌舞伎役者のようだ。彼は別の大河ドラマで、毛利元就役をつとめた。どちらもよかった。
追記
私生活は質素、劇団に尽くし続けた中村梅之助さん
「家康」亡くなる。「真田太平記家康」にふさわしい生涯をおくられたようだ。「花神」(七七年)の大村益次郎役もおぼえている。益次郎は湯豆腐が好物だった。こうみると、あらためて真田太平記が一級の俳優をあつめたドラマだったことがわかる。原作にふさわしいドラマにしたいという強い情熱があったのだろう。合掌。
追記
真田太平記 43話
がYouTubeにアップされていた
(https://www.youtube.com/watch?v=x2dbu5WEwvg)。
ありがたし。最終章の一部、「真田太平記」の名場面。
追記
現在上映中の「真田丸」、コミカル路線。最大の問題は、歴史上の人物たちに対する理解、リスペクトを欠いている点だ。真田信之、大谷刑部、徳川家康、直江兼続・・かれらはわれわれの先輩。いずれも十分な名将。それに対する配慮が真田太平記にあり、真田丸にない。加藤清正、直江兼続の小者めいた扱いには驚く。あのような小者が熊本城を築くか。