君は桜か |
子どもの頃,川遊びなどで2,3度出かけた記憶がある。
飯能河原から西に折れて名栗川沿いに狭い道が続く。
途中からよく舗装された少し広い道になり,それとともに川幅も狭くなる。
ここは江戸の町作りに使われた西川材の産地。
見事な杉林だ。
渓谷沿いの景色にはつつましやかな美しさがあり,私は気に入った。
川遊びにもよい。
ガソリンのメーターも気になったので,名栗中のところで引き返すことにした。
昔の記憶とは大分違い,中学校の生徒会関連で訪問したのはここだったのか自信がなくなった。
帰宅後ネットで確認したところ,歌人の若山牧水がこの地を愛し,たびたび滞在したとのこと。
一夜を小さき鉱泉宿に過し翌日名栗川に沿うて飯能町に出づ、川小さけれど岩清く水澄みたり。
わかし湯のラヂウムの湯はこちたくもよごれてぬるし窓に梅咲き
(http://members.jcom.home.ne.jp/michiko328/naguri.html)
「川小さけれど岩清く水澄みたり」はその通り。
牧水については「漂泊の歌人」というニックネームしか知らなかった。
九州延岡出身,祖父が所沢出身とのこと。名栗とは地縁がある。
彼の求婚の記事もあり,興味深く読んだ。
かなしやな信濃の春はうす暗し君は桜か東京(みやこ)へ帰る
という歌を見て,「君は桜か」に驚いた。
自分もこのくらいの言葉を使う必要があるなどと舌を巻いたが,よく読むと,求婚相手の太田喜志子さん(信州松本のひと)が,東京に去る牧水について詠んだ歌だった。
http://blog.goo.ne.jp/tukikusa_may/e/c0149bb5243b028ba7d348d55447c7e8
http://www.kodawari.co.jp/bokusui/bokusuinohukei50.html#再度
このように読まれたいものである。
(あなたは東京で桜見物のおつもりですか,もっといてくださってもいいのに,といった意味だろうが,一読別様に読んだ)