もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界 |
うわー,スケールが大きい,グレートガイ,とびっくり。
「荒法師」土光敏夫を東芝社長にすえたのが石坂泰三,という話をどこかで読み,興味をもって手にした本。
戦後の渋沢栄一という言い方があるそうだが,さもあらんと納得。時の大蔵大臣に対し「もう、きみには頼まない」と言ったそうだ。
この人にこう言われたら,言われた方が大変,大あわてだろう。
先に挙げた国宝とは少し異なる意味だろうが,国宝中の国宝。
この人の前では,ここ数代の首相は大いに遜色がある。
ほとんど破廉恥レベル,と言ったら言い過ぎだろうか。
いや,とにかくすばらしい。
いろいろなエピソードがちりばめられている・・長男氏との4つに組んだ夢中で,徹底的な議論,奥様亡くなった後の「死後愛妻家」,旺盛な読書欲,巨大な教養,不敏な者を煙に巻く「狸芸」(りげい),人物の値踏み,偶然土光敏夫と新幹線に乗り合わせたことを知り,側近に命じ彼を呼び寄せ,差し向かいで3時間のおしゃべり,土光敏夫,側近氏に「ひどいじゃないか,生きた心地がしなかった」,さすがの財界荒法師も泰三氏の前では苦しい。