響かない |
『彼自身によるロラン・バルト』(1975)に見られるmatという形容詞とある種の名詞(corps,Plaisir,jo11issance,1exle,Signeなど)の《異常な瀬度》は、 すでにある評家によって指摘されている1)が、しかしその指摘は単なる事実の指摘にとどまり、このやや突飛な形容詞がバルトの言語圏においてもつ重要な意義にまったく触れていない。形容詞matとその名詞形は、単に『ロラン・バルト』に「瀕出」するだけでなく、彼のエッセーから理論的著作にいたるまで、ほとんどすべてのテクストにわたって散見する。最初の著作『零度のエクリチュール』(1953)から遺著となった写真論『明るい部屋』(1980)にいたるまで、たえることなく登場する。mat「【響かない」またはmatite「響きのなさ」という語は、バルトにとって何を意味していたのか2)。
著者は私の恩師。すでに亡くなられている。
さきほどネットで恩師の論文
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/limedio/dlam/M41/M415232/3.pdf
を見つけた。
私の現在の専攻ではないが、なつかしく読みはじめた。
その論文の冒頭が上。
さすが花輪先生、魅力的な導入だ。
俳句論も含まれている。
少しづつ読んでいこう。