路傍の石に香焚く |
父のおもひ母のおもひの身に沁みて万燈供養のほむらかがやく 山口暁子
孫つれて路傍の石に香焚くをとこ無縁仏を弔ふといふ 勝 美彰
待ちわびて乙女のごとく逝きにけり黄泉路の父よ母をよろしく 大橋 弘
増税に抗議して(?)3月で朝刊購読をやめたのだが、帰省先で読売新聞を手に取る。ひさしぶりに歌壇を読んだ。上は岡野弘彦氏選の秀歌。3番目の歌が最初に目にとまった。前の二つも、こころがわかり、よい。歌を詠むのはわが国のすぐれた伝統。男女が歌をおくることでおもいを伝え合う行為は他国にもあるのだろうか。あるという話をこれまで読んだことがない。極端な短詩形でもあるし、海外に例がないかもしれない。