剣客春秋―里美の涙 |
シリーズ第6弾とのこと。
池波「剣客商売」の普及版という感じで、女剣士里美など好感をもてるキャラクターがいて、それなりに楽しめるのだが、やや娯楽路線風と思っていた。
シリーズ第6弾になって完成度があがり、楽しめた。
高橋「御隠居」シリーズに近い出来、と言ったら失礼だろうか。
主人公(だと思う)千坂藤兵衛は強いのだが、やや三枚目。
主人公がいま一つ魅力に欠けるのが、このシリーズの弱みか。
なぜか、脇役の目明し、又八や佐太郎がよい。
まあ、それはそれとして、里美、又四郎夫婦が成長してきているので、今後が楽しみ。
追記
「縁(えにし)の剣」読了。シリーズ第11弾とか。途中少し抜けているが、だいたい1日1冊というペース。ときおり「安直な」と思うストーリー作りも見受けられるが、娯楽路線、ということで気にしないで読んでいる。やはり、目明し又八、佐太郎の探索がよい。著者はこれを得意としているようだ。「秘剣」破りも得意話。今回は「霞突き」。藤兵衛ははじめ秘剣に押されるのだが、工夫を重ねて最後にそれを破る、というパターン。最後の決戦より、はじめから途中までがおもしろい。
追記
主人公千坂藤兵衛は一刀流中西派の道場主。いま気づいたが、私の畏友は一刀流中西派宗家高野弘正に教えを受けたとのこと。「一刀流中西派」ということばがでてきたとき、どこかで聞いたことがあるなと思ったが、(私にとって)話がつながった。