「反哲学」再訪 |
以前、木田 元「反哲学史」(講談社学術文庫)を読んで、このブログに簡単な感想を書いたことがある(調べたところ6年前だった。光陰矢のごとし)。
木田さんには「反哲学入門」(新潮社)という本もあり、出版社のHPを見たところ、「本書は、プラトンに始まる西洋哲学の流れと、それを断ち切ることによって出現してきたニーチェ以降の反哲学の動きを区別し、その本領を平明に解き明かしてみせる」とあった。
「哲学」=プラトン哲学、「反哲学」=「哲学」を否定するニーチェ以降の流れ
というわかりやすい図式だ。
他のソースによれば、「反哲学」派に属するのは、ハイデガー、メルロー・ポンテイ、現代フランス思想の面々。
「反哲学」ということばを、このような意味で最初に使ったのはメルロー・ポンテイとのこと。
さて、反哲学は反「プラトン哲学=実在論=合理主義(=独断論(?))」とのことだが、この意味の反哲学は19世紀後半のニーチェを待たずに、はるか以前、紀元前のピュロンに見られるのではないか、と私は思う。
西洋哲学史をプラトン主義と(ピュロン以来の!?)懐疑論あるい不可知論との格闘の歴史と見て大きく的を外したことになるまい。
この理解のなかで、ニーチェ以降の「反哲学」史に特筆すべき点はあるのだろうか、あるとすれば何であろうか。