プラトンの学園 アカデメイア |
廣川先生のご著書。ずっと以前から読みたいと思っていたのだが、生来の愚鈍のせいで読めずにいた本をさきほど読了した。
名著。プラトンと彼が創設したアカデメイアの物語が学問的な詳細さと生彩をもって語られる。
追記
高田康成「キケロ―ヨーロッパの知的伝統 」(岩波新書、1999年)読了。
前1世紀、共和制ローマの執政官をつとめた弁論家、哲学者マルクス・キケロの物語。廣川先生のご本で、キケロがアカデメイアを訪ねた話があって、手に取った。このところ、わが国の時代小説ばかり読んでいてすっかり忘れてしまっていたが、キケロの略歴を読み、子どもの頃愛読したプルターク英雄伝が蘇り、あのキケロか、と思いだした。カエサルとの関係等、政治的経歴は必ずしも称賛の的というわけではなかったようだが、弁論術は最上の評価を受け、ヨーロッパ世界に継承されていった。本書を読んで、久しぶりに、ヨーロッパの人文学の伝統の巨大な厚みを味わえて有益だった。
追記(2018/4/26)
アリストテレス派について少し調べてみた。リュケイオンの森の中を歩きながら講義したので、アリストテレスとその弟子たちが逍遥学派(ペリパトス学派、hoi Peripatetikoi,散歩をする人々)と呼ばれたことは知っていた。アカデメイアと同じくリュケイオンもアテナイの体育場に建てられたという話は「プラトンの学園アカデメイア」にあり、承知していた。しかし、「青年たちの教育に熱心だったソクラテスは、足繁くアカデメイアやこのリュケイオンのギュムナシオン(体育場)の青年たちを見て回っていたことが、プラトンの対話篇『リュシス』などにも描かれている」(Wikipedia)ことは知らなかった。また、フランスの中等教育機関「リセ」が、「古代ギリシアでアテナイ郊外の聖なる森の中を逍遥して青年の教育にあたった哲学者アリストテレスの学校リュケイオンにちなむ。フランス革命期にコンドルセは,イエズス会に握られた守旧的な大学にとって代わる高等教育機関の名称にリセの名を与えた」ことも知らなかった。さすがコンドルセと感心。リセが哲学教育に熱心であることは有名。アリストテレスの学園に因むのなら、さもあらん。