倫理の授業をいかに設計するか |
According to Aristotle "Nicomachean Ethics,“ ethics is the study of well-being. We do not have any theory of well-being. How can we learn it? The well-beings are found in the various lives of persons and organizations. The history of a person or an organization is the track record of his/her/its interpretation of well-being. In this class, students learn the answers to the question of what well-being is through the study of lives of persons and organizations.
倫理授業実践例
受講生:高等専門学校2年生
(ありうる授業対象:高校生(あるいは高等専門学校生)~大学教養課程生)
授業の基本コンセプト
1.学生諸君は、よき生き様(well-being)のあり方を学ぶ
アリストテレス「二コマコス倫理学」に従い、倫理学を(通常より広く)「よき生き様」(well-being)の研究として理解する(よき生き様の考察としてのエチカ)
*倫理学のアリストテレス的理解は、倫理学をより豊かで、多くの人々にとってより興味深いものとする、と私は考える
2.実例主義(手本主義):学生諸君は、(理論からではなく)先人の生き様(実例)から、よき生き様を学ぶ
*倫理学に大方の賛同を得る一般的理論は存在しない(ソクラテス「徳は教えることができない」)
*実例は学生諸君にとって身近でえられにくいロールモデルとなりうる(手本から学ぶことが大事)
これまでとりあげた実例
保科正之、坂本龍馬、福沢諭吉、岩倉使節団、渋沢栄一、新渡戸稲造、後藤新平、八田與一、高峰譲吉、樋口季一郎、鈴木貫太郎、白洲次郎、豊田佐吉、豊田喜一郎、松下幸之助、井深 大、島 秀雄、土光敏夫、出光佐三、本田宗一郎、茂木友三郎、緒方貞子、鈴木敏文、鈴木 修、アラン・チューリング、ビル・ゲイツ、スチーブ・ジョブス、マーク・ザッカ―バーグ、エジソン、ウィリアム・ルメジャー、他
3.人格の陶冶(cultivation of character)をめざす
*相対主義的思潮の強い現代であるが、「倫理」の授業とうたう以上、人格教育を目標とすべきである
授業手法
アクテイブ・ラーニング:クラスを3、4人一組のチームに分け、チームで担当する先人について調べ(ネット、書籍等を活用)、プレゼンする。自ら学ぶこと、互いに教え合うことを重視 プレゼン終了後1週間以内に、チームはスライドをクラウド(Googleドライブ)にアップロード、クラス全員が読めるようにする フロアーの学生諸君は事前に配布する「コメントシート」に、プレゼンのメモ、評価、感想等を書きこみ、学期末に提出する
評価:プレゼンのパフォーマンス評価60%、学期末レポート、コメントシート評価40%。なお、プレゼンの評価ポイント表は事前に学生諸君に示しておく。定期試験は実施しない。
本授業は、小中学校「道徳」における偉人伝の活用の延長上にある。16歳~20歳という学齢(社会に出ることを意識した学齢)にふさわしい学びが可能になると思われる。受講生にあわせて実例を適切に選択することにより、キャリアデザイン教育の一環として本授業を位置づけることも可能(上にあげた実例はエンジニア志望者用に選ばれている)。